「幻想工房」の雑記帳。 管理人の頽廃的でデカダンな日々を赤裸々全裸に記録
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『未完の明治維新』 読了
2007-05-17 Thu 02:09
『未完の明治維新』(坂野潤治・ちくま新書) 読了
ishin
明治維新の知られざる実像に迫る好著。
・・・だが、このタイトルの意味は正直図りかねる
難しいことを難しく説明するのは、凡人にとっても容易である。
真に優れた啓蒙書というのは、難しい物事を判りやすく説明することにある。
そういう意味では、本書はまことに判りやすい。
まず、模式図を多用している点が挙げられる。
ややこしい相関関係も、模式的な図の助けが有れば案外、頭に入ってくるものだ。
特に、本書冒頭に提示された模式図は秀逸である。
明治維新を代表する四人のリーダー、西郷隆盛(外征)、大久保利通(殖産興業)、木戸孝允(憲法制定)、板垣退助(議会設立)の政治的な目標と、各勢力の関係が非常に明快に説明されている。文章にすると、西郷は大久保とは「富国強兵」という点で、板垣とは「征韓論」で協力できるが、木戸とは相容れない。大久保は木戸とは「内治優先」で協力できるが、板垣とは相容れない。木戸は板垣とは「公議輿論」(憲政確立)で協力できるが、西郷とは相容れない。となる訳だが、これを「プロローグ」で明快にしている時点で、著者の思惑に見事に乗せられてしまう読者が多いことだろう。無論、私もその一人であるが。
本文の方では、当時の書簡など(文語文)を引用しつつ適宜説明を加えて、上記の四勢力による政権内部での角逐の様子を生々しく伝えている。一般に、明治維新は「武士の革命」であるとされ、これを過大に評価する向きと、過小に評価する向きがあるのであるが、著者は彼らの先進性や視野の広さを評価している。ただ、彼らの目指していた近代化路線の内、「外征」「殖産興業」「議会設立」は勝海舟・横井小楠・佐久間象山ら幕末に展開された諸運動の理論的指導者達によって既に提唱されていた、というのはなかなか刺激的な論であった。だが、同時に彼らがやはり「武士」であり、他階級のものを動員することを潔しとしなかった点や、「憲法設立」も「議会設立」も、無意識的に武士階級に止まっていた点も指摘し、「武士の革命」の限界も示唆している。
最後は日清戦争勃発直前の1893年、陸奥宗光外相の議会演説で幕を閉じる。
この頃の明治政府は、維新期の混乱(財政は健全にはほど遠く、国策も具体的には定まっていなかった)を乗り越えアジアの強国としての一歩を踏み出しつつあった。しかし著者は、陸奥が全ての路線を実現したと「見得を切って」いる「軽さ」と西郷・大久保らとの熱意の間には、明らかな温度差がある、と指摘する。
それ故に「未完」なのだろうが、果たしてそうなのか。その点が少し納得いかなかったのは、私の読みが浅すぎたからだろうか。
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