「幻想工房」の雑記帳。 管理人の頽廃的でデカダンな日々を赤裸々全裸に記録
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『破壊の女神 中国史の女たち』 読了
2007-05-15 Tue 04:51
『破壊の女神 中国史の女たち(井波律子・光文社知恵の森文庫) 読了
goddes of destroy
現実(リアル)を、虚構(フィクション)を―
烈しく生き抜いた中国史のヒロインたちに迫る好著
10年前に出版された同名書籍(新書)の文庫版
「中国史の女たち」と銘打たれているが、残念ながら女性が記録に残りづらいこともあってか史実の人物のみではなく、西施のような伝説上の人物や、『楊家将演義』の女武将たちや『紅楼夢』の少女たちなど、講談・文学作品など創作物上の女性キャラクターたちにも紙幅を割いてコンパクトながら入門には必要充分な解説がなされている。
史実の女性たちも魅力的である。だが、創作物上の女性たちについても、作品を楽しんだ人々がヒロインたちに仮託した思いなどを、作品の成立した時代背景なども合わせ、実に精緻な考察を加えてある。また、著者のヒロインたちへの過剰ではないが深い思い入れが伝わってきて、読んでいて何とも心地よくなる。『三國志演義』(ちくま文庫)での史料批判を交えた註釈や、関羽(義絶)・曹操(奸絶)・諸葛亮(智説)に対する考察(これ自体は毛宗崗が端緒であるが)も秀逸であったが、まさに、中国文学史の大家である著者の面目躍如といって良いだろう。
以下、章ごとに個評

第一章 伝説の美女――西施
私は、てっきり范蠡と駆け落ちしたのが正史かと思っていた

第二章 女たちの漢王朝
趙翼の指摘通り、漢王朝前半の皇后たちは確かに低い階級の出身者ばっかりだ
確かに呂后は残忍だったけど、その残忍さが民衆に向かなかった点は評価すべきかも
あと、どの女性たちもしたたかと言おうか、エネルギッシュといおうか

第三章 貴族の娘――謝道蘊
『柳絮』のヒロイン、個人的にこの人がもの凄く好きだったりする
口では茫洋とした夫や生真面目な弟を詰っていても、本当は好きだったんだろうな~

第四章 北朝の女たち――独孤皇后から則天武后
関隴貴族集団の覇権を確立した独孤皇后から、その関隴貴族集団の支配を打破した則天武后まで。どちらも欠点を抱えてはいるが、歴史上の王朝創業の君主たち同様、彼女たちが歴史を動かしたのは間違いない。
個人的には、史上唯一の中華皇帝として武則天と表記して欲しかったかも

第五章 悲劇の女詩人
唐の時代を生きた薛濤・魚玄機。対照的なキャラクターの二人が、いずれも妓楼の関係者だったのは興味深い。宋の李清照の転変についても言及されている

第六章 纏足とスーパーヒロイン
『楊家将演義』のヒロインたちが中心。 四代目文広が羨ましすぎる件について(後述)
これは個人的な見解だが、やはりオリジナルの『楊家将演義』は荒唐無稽すぎて日本では受けないと思うなぁ~ 歴史上の名将である曹彬とかはまだ「その他大勢」扱いだけど、狄青とか完全に悪役だし・・・ その辺についても後述

第七章 侠女の系譜
聶隠娘、格好良い。「いっぺん、死んでみる?」を地でいくというか、必殺仕事人か
しかし、最後は魔術大戦争状態に陥るのは中国古典文学の欠点だと思う

第八章 悪女の系譜
『金瓶梅』が『水滸伝』のパロディだとは知っていたけど、ここまではっちゃけたお話だったとは知らなかった。日本の「清姫」や「鉄輪」みたいな同情の余地のある女性ではなく、何というか自分の欲望に忠実な悪女が多いのが印象的だったかな

第九章 柳如是――明末のパトス
これは、何といおうか、女傑という言葉がぴったり。鄭成功の南京奪回作戦など、本土上陸を支援していたことなど、ただの女流文学者の枠に納まるものではない。

第十章 夢と鏡の物語――逆転の世界
曹雪芹『紅楼夢』尽くし こちらも後述

終章 破壊の女神
有り余る才知を、宮廷での権力闘争に使い果たしてしまった西太后。
教養高いとされる彼女の素養に疑問を提示するなど、著者の評価はなかなか辛い。勿論、西太后がいなければ中国近代化の歴史はより平坦になっていたであろうが・・・ それでも、作者の筆致にはどこか西太后を憎み切れていないものが混じっている様に思うのは、私の思い過ごしかな

章立てされており、通勤通学中の電車内で少しずつ読めるのも強み。
中国史や中国文学史の入門としては是非オススメしたい一冊である




 ☆警告☆
ここから、本書の内容からかけ離れた、管理人の妄想フルスロットルに入ります
もし、上記のレビューで心を動かされた方は、どうかこのまま引き返して頂きたい



どうもね、俺は今まで思い違いをしていた様だ。
何かというと、『楊家将演義』とか『紅楼夢』を古典文学作品だと思いこんでいるから、評価できなかったのだよ。だけど、この設定とかストーリーとかを、サブカルチャー作品だと思えば、あら不思議、現代日本のサブカルチャー作品と大差ないじゃないか。
それでは、『楊家将演義』と『紅楼夢』をそれぞれ別々にいってみよう

◆『楊家将演義』
スポットを当てるのは 楊業-楊六郎-楊宗保に続く、四代目のハンサムくん、楊文広
親父の宗保から、三種の宝物を山賊から奪還してくる様に指令を受ける
 ・山賊の頭目はなぜか美少女の竇錦姑・杜月英 おい(^^;)
 ・二人との決闘に敗れるが、惚れられて結婚する おい(^^;)
 ・別の山賊団頭目の娘で美少女の鮑飛雲に決闘で敗れ以下略 おい(^^;)
てか、剛勇を誇った楊業が草葉の陰で血涙を流していそうな気がするが・・・
しかし、これはそういう系統のライトノベルとかだとありそうな話だ。
数百年前の中国に、現代日本でも通用しそうなアホな妄想をしている奴がいたと知って、急に親近感を覚えた(え~ 誰か、ラノベ化宜しく~

◆『紅楼夢』
うって変わって、こっちはしんみり系。
開国の元勲・賈一族が造営した、少女達のユートピア「大観園」が舞台。
金陵十二釵」(賈一族の十二人の美少女)と、一族のグレートマザー・史大君の最愛の孫・賈宝玉が主な登場人物。・・・まぁ、現代日本には十二人の妹を抱える様なゲームも有るらしいから、まぁ、問題ないだろう(大有り
中心となるのは「金陵十二釵」の林黛玉薛宝釵か。純粋であるが、潔癖で癇性持ちで、周囲と妥協できない「永遠の少女」の林黛玉。とびきりの常識家で、女性の限界を自ら設定し世間一般から期待される「良妻賢母」を醒めて演じる薛宝釵。対照的なキャラクターを用意する手法は、現代日本のサブカルチャーも全く同じだな、と。
しかし、ユートピア「大観園」も時の経過とともに失われていく。傾いていく賈家の財政。そして、薛宝釵の示唆する女性の限界を受け入れ、ユートピアを去っていく少女たち。孤塁を守った林黛玉も相思相愛の賈宝玉を残して他界して・・・
楽園の喪失」をきっちりと描こうとしている点がこの作品を名作たらしめているのだろうけど、そのままライトノベルとか、美少女ゲームにできるんじゃないか、という様な感じ。てか、誰かライトノベル化宜しく。いや、ゲーム化かな。何やってるんですか、コーエーさん?
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この記事のコメント
『紅楼夢』をサブカルチャーというと怒る人が多そうですが、明清の白話小説なんて新興分野なんですから、当時のサブカルですよね。

だからこそエネルギーの塊みたいなところもあるわけで。

『水滸伝』『金瓶梅』『紅楼夢』なんかストーリーではなくキャラクタを描くという点でも、現代のサブカルチャーと類似してますよね。

ただ、長篇の場合、あまりにも長篇であるがゆえに、特に後半グダグダになるという共通の缺点がありますが。
その点で『三国志演義』はまだできが良いので、今でもテキストそのものが読まれている、という指摘はできるかも知れません。

そう考えると、『水滸伝』のキャラだけ活かして、ストーリを組み直してしまった北方謙三は凄腕だな、と改めて思ったり(まあ、それでも後半、大分ダレてましたが。特に、最後は続篇の執筆が決まっていたでしょうか、「とりあえず終らせる」感じが強かったのが残念)。

この間、三国志学会でアレを貶す先生や院生が多いのに吃驚しました。何か教条主義的だよな、と思ったり。『水滸伝』の70回本とかホントに面白いか?(暴言)
2008-10-27 Mon 09:24 | URL | たけたつる #-[ 内容変更]
>サブカルチャー
現在、権威主義者に崇め奉られている古典作品は、創作された当時はほとんどメインカルチャーから外れていたと思うんですけどね。「源氏物語」にしろ、当時はひらがなは「仮名」であり、「真名」では無かった訳ですから一段低く見られていたはずです。音楽などにしても同じだと思うんですけどね。

>中国古典作品=キャラクタの描写
確かにそうですね~
キャラクターの個性によって一点突破を図っている点は今日のポップカルチャーの流れを汲む創作物と類似しています。で、「キャラは良いのにストーリーは微妙」というのが多いのも、ポップカルチャー作品ではままありますし。

>三國志演義
少なくとも、他の中国古典文学作品に比べると荒唐無稽な展開はかなりセーブされているせいかもしれません。一時期日本でも刊行されていた「反三國志」の様な展開になっていたら、三國志演義も今ほどの評価を与えられていたかどうか

>水滸伝
実は、ほぼ全くの不案内だったりします。
2008-10-28 Tue 04:26 | URL | オジオン #-[ 内容変更]
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2007-10-14 Sun 11:32 中国便覧
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