「幻想工房」の雑記帳。 管理人の頽廃的でデカダンな日々を赤裸々全裸に記録
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『黄昏色の詠使い イヴは夜明けに微笑んで』 読了
2007-04-05 Thu 13:01
黄昏色の詠使い イヴは夜明けに微笑んで』(細音啓・富士見ファンタジア文庫) 読了
eve01
第18回ファンタジア長編小説大賞「佳作」
鮮やかな色彩と美しい旋律が奏でる、異色のファンタジー世界
幻想(ファンタジー)と空想の違いは何か。
そう問われれば、
 幻想=「現実世界とは異なる法則が律する世界」
 空想=「法則の存在しない世界」 とでも答えようか。
河合隼雄先生の受け売りだが・・・
どれだけ、奇妙な法則であろうがそれが厳然として存在し、ご都合主義でさえ無ければ、それはファンタジー。立派な一つの世界なのだ。もっと言うなら、世界を律する法則の美しさこそが、ファンタジー作品の生命線だといって良い。
そういう意味で、本書の描き出す"法則"は圧倒的に美しい。
この世界の魔法使い――名詠士たちは色を触媒(カタリスト)とし、同波長の可視エネルギーを利用して物質の召喚と転移―つまり、奇跡を起こす。その起因となるのは讃来歌(オラトリオ)。
赤(Keinez)、青(Ruguz)、黄(Surisuz)、緑(Beorc)、白(Arzus) 各系統の色彩の鮮やかさな触媒と、繊細かつ詩的な讃来歌によって紡がれる名詠式。ライトノベル(商業ファンタジー)に見られがちな"便利な超能力"ではなく、一個の精緻な魔術体系として扱ってある点は実に素晴らしい。また、この色彩鮮やかな世界に、繊細な文体と、淡いが透き通る様な美しい色遣いのイラストがよくマッチしている。イラストとの相性もライトノベルにおける大きなポイントだが、その点に関しては申し分がない。正直、これが佳作作品だというのが信じられないくらいだ。
是非、続編を読んでみたいと感じさせてくれる良作である。

・・・が、やや厳しい面もある。
美しく透明感のある世界と同じく、キャラクターたちも一様に繊細である。昔日の約束を守ろうとひたむきに生きる男女の物語と見ることも出来ようし、それを受け継ぐ少年や、何でも起用にこなしてしまう自分の殻に閉じこもってなかなかそれを打ち破れない少女の物語ととることも出来る。確かに、各キャラクターたちの抱えた物語は美しかったが、執念の様なものが感じられないのだ。アクがないというか、主要キャラでさえ存在感がやや稀薄な様にさえ感じる。
ファンタジー世界の醍醐味は、世界を律する法則の美しさを堪能するだけではなく、人間味溢れるキャラクターたちによる友情・葛藤など人間ドラマにもある。この点を補っていってくれれば、文句なしに名作と呼んで恥ずかしくない作品になっていた様に思う。
今後の成長が非常に楽しみである
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