「幻想工房」の雑記帳。 管理人の頽廃的でデカダンな日々を赤裸々全裸に記録
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『遥かなる大和』上・下 読了
2010-10-08 Fri 04:25
『遥かなる大和』上・下(八木荘司・角川文庫)
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古代東アジアを舞台とした、最高のエンタテインメント小説
・・・だが、これが「歴史小説か?」と聞かれるとちょっと微妙かも
長らく滞ってきた書評をぼちぼち再開させようかと。
・・・既にどの本を読んでどの本を積んでいるのか皆目見当がつかないが(お

閑話休題。
物語は、遣隋使の船中から幕を開ける。当然それに参加している面々が主要人物として活躍する。主な面子だと小野妹子、そして留学生の高向玄理南淵請安といったところだろうか。朝廷内では、
 聖徳太子派 ・・・高句麗・百済との協調
 蘇我馬子派 ・・・新羅との協調
の外交方針を巡る暗闘が繰り広げられていることが示唆されている。
小野妹子が頭を痛めていたのが、彼自身が「紛失」してしまった「煬帝からの国書」についてであった。そんな中、「国書」を持った新羅人と接触していたと思しき通事・鞍作福利が失踪してしまう。留学生たちに鞍作福利の追跡を命じた小野妹子は、国書の内容を探るために前・鴻臚卿の楊玄感との接触を図ったが、そこで恐るべき反乱計画を聞かされ、外交方針の大転換を決意する。一方、留学生たちは徐世勣らの反隋運動に触発され、革命に身を投じていく といった粗筋である。
で、ここで大きく分けて物語は二分される

 1.留学生ルート ・・・楊玄感の挙兵→李密の挙兵→唐国公・李淵の挙兵
 2.朝廷ルート ・・・小野妹子vs.蘇我氏一派 朝廷内での暗闘

留学生たちは、めまぐるしく情勢が変化する隋唐革命下の中国大陸で、李密・徐世勣・李世民ら、あるいは鞍作福利とのやりとりを描く。小野妹子や吉士雄成らは、外交方針を巡って対立する蘇我氏一派との暗闘を中心に描いており、息もつかせぬ面白さがある。この点は、さすがに素晴らしい出来である。

ただ、歴史的事実という意味ではいろいろと不備が多い
ざっと覚えているだけでも、
 ・漢人=半島南部からの渡来人 なので、玄理や請安が身を挺して革命に参加するか?
 ・まともな動力のない「竜舟」で、洛陽→長安と黄河を遡上できるのか?
 ・徐世勣が文盲、ということはないはず
   ※それなりに資産のある家に生まれており、最低限の学問はあったはず
 ・聖徳太子が反新羅だとする史料はない
   ※むしろ、配下の秦河勝は新羅系渡来人だったのでは?という説もある
 ・蘇我馬子が反高句麗・百済だったという史料はない
   ※飛鳥寺は百済系渡来人のための領事館的な役割を果たしていたのでは? 
 ・李淵・李建成があそこまで無能者だとは思えない

など、疑問点はキリがないほどある。

ただ、それらを差し引いたとしても、やはり面白いと断言できる作品である。
ほとんど事績の伝わっていない太子派の領袖として蘇我派との戦いに活躍する老練の外交家・小野妹子、蘇我馬子の不正を暴くために敢えて蘇我氏と迎合する吉士雄成、不気味な存在感を放つ迹見赤檮、理想に燃える革命家・楊玄感、冷徹な策士・李密、父・馬子に翻弄される河上娘など、どのキャラクターも味わい深い。
中でも、徐世勣と高向玄理、南淵請安の友情が良かったかな。理想に燃える少年たちが、現実の厳しさ・非情さに打ちのめされつつもそれらと折り合いをつけつつ再び立ち上がる筋書きは、ありきたりではあってもやっぱり感動せずにはいられない。続編『青雲の大和』では、遣唐使として唐に渡った高向玄理と唐将・李勣との再会が設定されているはずである。本当に楽しみである
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2010-12-23 Thu 16:01 ゲーム攻略の虎
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