「幻想工房」の雑記帳。 管理人の頽廃的でデカダンな日々を赤裸々全裸に記録
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | top↑
『諸葛孔明は二人いた 隠されていた三国志の真実』 読了
2009-05-26 Tue 05:15
『諸葛孔明は二人いた 隠されていた三国志の真実(加来耕三・講談社+α文庫)
koumei
何というか・・・
 「ダメな三国志本」の見本の様な書籍
よほどお暇な諸兄にしか、オススメできない(-_-;
買ったのは私です。自己責任ですね。
 「ムシャクシャしていて買った。三國志なら何でも良かった。今は反省している」
まぁ、そういう書籍ということで。

まず、タイトルに偽りあり。しかも、非常に悪い意味で。
読み終わっても、サブタイトルの意味が全く意味不明なので注意。
・・・そもそも、読むことをオススメしないが。

もう一点、注意すべきは本書のスタンス。
 史実と虚構の区別が非常に曖昧 なのだ。
例を挙げてみよう。
諸葛亮を凌ぐ智者として劉巴を取り上げている(p142 第七章 孔明が恐れた内なる宿敵)のだが、これは正史を多少でも読んでいる読者であれば、特に驚くべき事実ではない。劉巴は中原の名士の代表格である陳羣でさえも敬意を払う蜀きっての大物であり、諸葛亮もその知謀に関しては劉巴に敬意を払っていたことは、既に周知の事実である。
百歩譲って、劉巴がライトな三國志ファンにはマイナーな存在であることを認めるとしよう。では、どうして「正史」ベースのスタンスを一貫させないのか。著者は、
 「誤解されやすいところだが、元来、孔明その人は野戦の将ではなかった」(p136)
と、「正史」ベースであることを強調しているにもかかわらず、その直後にいくつも「演義」をベースとした情報をあたかも史実の様に書き連ねている。不誠実なのか、あるいは単に無学・無知なのかは判然としないが、これでは詐欺同然だ。
誹謗するだけではフェアではないだろうから、以下に例を挙げよう。
南蛮征伐の大将が趙雲魏延(p137)
馬超を魏への備えにあて(p137)
と、一事が万事、こういった調子である。もはや、論評にも値しない内容である。

他にも、細かい点ではツッコミどころ満載である。
『クロスファイア』(宮部みゆき)じゃないけど、これは間違い探しゲームなのだろうか?
『三国志演義』では、若き日の曹操が”名士”の許劭の「月旦評」で、己の評価をして欲しいと懸命に通った(p163・164)
  →これは孫盛の『異同雑語』に見られる
姜維益州刺史に転出(p170)
  →姜維は涼州刺史は兼任していたが、益州刺史には任官されていない
「曹操が襲って参りましたら陛下(劉備)にご出馬願わねばなりません」(p222)
  →魏延の漢中太守就任時、劉備はまだ「漢中王」。魏延は「大王」と呼ぶはず
史実の魏延は実力も充分あり、将士にずいぶんと慕われ(p223)
  →「皆避下之」(「魏延伝」)が、果たして「慕われている」と言えるのか?

また、非常に短絡的な解釈もあり、個人的には全く同意しかねる見解も多かった。
特にひどかったのが
 低次元な日本の"文人"事情(p104・105)
江戸・明治期の日本の文人・政治家たちにとっての教養が漢文学であったのは確かで、「文武両道」を目標とした江戸・明治期の日本の武家が中国士大夫のミニチュアであることは間違いない。ただ、まともに仕事もせずにぶらつくことが多かった中国の士大夫に比べ、日本の文人を「質的に低い」「低次元」と断じる神経は理解しかねる
「質的に異なる」「ベクトルが違う」という評価なら妥当かと思うが・・・
それとも何だろうか、
 劉巴が張飛を「兵子」(兵隊野郎)と侮蔑した様な、あるいは 
 楊儀が魏延を「庸奴」(軍人奴隷)と罵倒した様なメンタリティをお望みなのか。
ヒューマニズムを至上の価値とする現代人の私には理解しがたい感覚である。ちなみに、この劉巴・楊儀の両名は互いに険悪であったことがよく知られている。まぁ、人間的に最低野郎同士だから、同属嫌悪という奴だろう。
上の劉巴・楊儀評は私の非常に個人的な見解である。ただ、
 この書籍が質的に低い 低次元であることは間違いのない事実
である。即刻、書店から回収すべきである。
別窓 | 三國志 考察など | コメント:4 | トラックバック:0 | top↑
<<ニュースの詰合 | 「幻想工房」雑記帳 | 『三国志 赤壁伝説』読了>>
この記事のコメント
タイトルが香ばしいので、ネタとして買ってみるのもいいかと思いましたが、やめました^^;
内容に賛同できるかどうかよりも、正史と演義がごちゃまぜになっていて、それが区別されていないというのは正直私にとっては下手な専門書よりも難解です。
昔、三国ブームの真っ直中の頃、よく演義と正史の内容がごちゃごちゃになっていて、出典もどこからなのか書いていない物が結構ありましたけど、当時は正史の内容もよく知りませんでしたし、結局それが創作物のエピソードなのか、一応伝承や史実の類なのかすらわからなくて、結局読んでも混乱するだけでしたね。
やはり一応本として出版するなら、創作物なのか史実や伝承の類なのか出典くらいは出しておいて欲しいです、読む側としては。
判断できる人が読んだ場合は良いのですが、そうでない人が読んだ場合、本当にわけわからなくなりますから。
2009-05-26 Tue 16:04 | URL | 南斗 #leF2ecbc[ 内容変更]
>ネタとして
実は、ちょびっと期待していたんですよ。
でも、本当にダメな本でした orz
一応、この本に書かれている孔明@演義のモデルが、劉基(朱元璋の参謀)だという見解がそれっぽいと言うか、それっぽいのですが、これもかなり古くから言及されている事ですし。
てか、劉基もそうですが、個人的にはむしろ南北朝時代の韋叡の方が孔明@演義のイメージに近いと思います。
 ・北の巨大帝国「魏」に立ち向かう知将
 ・虚弱体質ゆえに騎乗できず、輿に乗っていた
などを考えると「韋叡モデル説」も捨てがたいと思うのですが

まぁ、いろいろとダメなのは事実ですから激しくオススメしません。
2009-05-27 Wed 02:23 | URL | オジオン #-[ 内容変更]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009-07-16 Thu 20:05 | | #[ 内容変更]
Re: リンクさせてください
ご無沙汰をしておりました。

ちょくちょくはブログの方を覗いておりますが、最近は・・・
仕事以外だと、真面目な本をほとんど読めていないです。
エントリーは、ほぼ9割方はサブカル関係、という体たらく(-_-;

ご紹介にあずかったこと光栄ですが、ちょっと恥ずかしいですね(^^;


いま、自分のエントリーを読み返してみると表現が過激すぎる部分があったりとか、適切な批判を加えられていなかったり、と気づかされる部分があります。特に先生のエントリーを拝見した後ですと(-_-;
レヴュワーとしては不適格ですね。

ただ、本好き・三国志好きとしては、やはりこういう程度の低い書籍が店頭に並ぶのは「我慢ならない」という思いがあります。私の様な給料全額がお小遣い、というダメな大人=廃人にとっては痛くもかゆくもない出費です。が、「三国志」に興味を持ちはじめた小中学校の生徒さんたちがなけなしのお小遣いをはたいて買ったのがこの書籍だったら・・・ と思うと、どうしても黙っていられなかった、という思いもあります。

先生の様に、ブログに正誤表を完備されていらっしゃる様であれば、ここまで非難することはなかったと思います。が、著者の公式hpを見てきたのですが、そういったものは見当たりませんでした。・・・まぁ、正誤表だけで一冊本が書けそうな内容でしたが(-_-; 
この書籍の著者は、どう好意的に解釈しても「売れそう」な歴史人物たちを食い物にしている様にしか思えませんでしたので、かなり辛い論調になってしまっています。浅はかな素人の意見ではありますが、こういった歴史を扱った書籍の購入者としての偽りのない気持ちを表そうと書いたエントリーです。とてもご参考にはならなかったでしょうが、お読み頂けて光栄です。
2009-07-18 Sat 01:30 | URL | オジオン #-[ 内容変更]
top↑
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
top↑
| 「幻想工房」雑記帳 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。