「幻想工房」の雑記帳。 管理人の頽廃的でデカダンな日々を赤裸々全裸に記録
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『三国志 赤壁伝説』読了
2009-05-25 Mon 02:55
三国志 赤壁伝説読了(満田剛・白帝社)
red cliff
「赤壁の戦い」をメインに扱った、三国志本
興味深い点もあったが、『三国志 正史と小説の狭間には及ばないか。
私の満田先生への傾倒ぶりは上記リンク参照のこと。
それだけ『三国志 正史と小説の狭間は、(やや濃いめだが)質・量・コストパフォーマンスあらゆる面で、現状入手可能な「三國志」概説書としては卓越した書籍である。三國志にそれなりに知識のある知人には自信を持ってお勧めでき、現に同僚の一人は購入していたりする。
が、この三国志 赤壁伝説』は、『三国志 正史と小説の狭間』と同じ様なコストパフォーマンスを期待すると・・・ ちょっと厳しいかも知れない。もちろん、興味深い部分もあるのだが、
 「正史と小説の狭間」になくて、「赤壁伝説」だけのセールスポイントは何?
と問われると、実は第一章・第一節 物語での「赤壁の戦い」しかないのだ。
では、毎度の内容について、私の偏りまくった個評を

第一章 赤壁の戦い・虚々実々
第一節 物語での「赤壁の戦い」

ここでは、過去の創作作品における「赤壁の戦い」についての描写・構成を採り上げ、その差異や史実との比較についてまとめている。採り上げている作品は以下の6つに大別できる
 『三国演義』(羅貫中)
 『三国志』(吉川英治)
 『三国志平話』(作者不詳)
 『秘本三国志』・『諸葛孔明』・『曹操 魏の曹一族』(陳舜臣)
 『蒼天航路』(李學仁・王欣太)
 『BB戦士三国伝』(?)
この時点で、良い具合にカオティックなチョイスで、ワクワクしてしまう方は、本書を購入することをお勧めできる。また、この部分が本書の一番の読み所であり、赤壁の戦い前後に限定されているとはいえ、創作物上の「三国志」をここまで精緻に考察・検証した書籍が稀有であるのは確かである。『三国志平話』のぶっ飛び具合を考えれば、『蒼天航路』に見られる一見エキセントリックな人物考察が、案外真っ当であったことを再認識させられる。
で、特に力が入っていると感じられるのは『BB戦士三国伝』だろうか。
「正史と小説の狭間」でのイメージが強すぎるからかも知れないが、満田先生が大まじめにBB戦士(「機動戦士ガンダム」のSDパロディ)の「三国伝」に検証・考察を加えていらっしゃるので、図らずも笑いを堪えることが出来なかった。
先生、どんだけ「BB戦士 三国伝」がお好きなんですか?(^^;
ただ、この部分を読んでいるとなかなか面白そうなストーリー展開だと感じさせられるのも事実。というより、ムダに熱い。特に劉備ガンダムとか、関羽ガンダムとか、周倉ドーベンウルフとか、曹操ガンダムとか、黄蓋グフとか
他にも、「ガンダム」オタクの私からすると
 程ワイズワラビーって、どんだけマイナーMSなんだ! とか、
 李儒シャッコーって、ダジャレ(シャッコーの発展型がリグ・シャッコー)か? とか、
 徐晃サーペント ・・・魏で一、二を争う名将が量産機? とか
そういう、益体もないことを考えながら読んでしまっていたり。
閑話休題。
いずれにしろ、この第一章・第一節で興味深かったのは、
 創作物上の「三国志」に対して、肯定的な評価が多かった
点だろうか。研究者というか、研究テーマとして「三国時代」を専攻している方はこういった創作物を見下す様なスタンスの発言が目につくことが多い。そういう「上から目線」を感じさせず、それぞれの作品内での独自の解釈人物像彼らのとった行動について
 「史実上でもあり得ない話ではない」
 「参考にはなる」
といったスタンスをとられることが多い。歴史としてだけではなく、創作物としても「三国志」を楽しみたい、とお考えの諸兄にはこの部分だけでも一読をオススメしたい。

第二節 史実上での「赤壁の戦い」
「魏志」「呉志」「蜀志」内の紀伝における、「赤壁の戦い」の相違点について。
それぞれの典拠となった「タネ本」についての解釈も加えてある。
正史『三國志』は編纂期間が非常に短期間で、恐らく編纂者・陳寿が各国に遺されていた史料を「コピペ」して作成したこと。亡命政権である蜀関連の史料が特に僅少で、魏国内の史料を基に「蜀志」の個人伝が書かれている可能性がある、など。
また、先生の持論である
 「魏のお気に入りのライバル=蜀」
 「曹操のお気に入りのライバル=劉備」

について論が展開されており、この指摘は実に的を射ていると感じる。
また、当然のごとく曹操とそのライバルである劉備以外は不当に低く評価されることがある点については、注意する必要があることも指摘されている。
・・・ただ、この「各史料の食い違い」については、既に「正史と小説の狭間」の「第四章 官渡と赤壁 曹操の覇権と新世代の登場」で示されているものも多く、互いに校合している。既に「正史と小説の狭間」をお読みの諸兄には、ちょっとお得感がないのも確か。
個人的には劉表政権の再評価についてを書籍化して欲しかっただけに、残念に感じた。

第二章 『三国志』豆知識  
第三章 『三国志』人物事典

「大三国志展」のカタログ(『大三國志展 ―悠久の大地と人間のロマン―』)に収録されている記事を書籍化したもの。カタログは装丁の関係上、角の部分が痛みやすい。また、書籍化されたことでより多くの「三國志」ファンに読まれる様になった意義は大きい。・・・ただ、カタログを既に持っている身としては、ちょっと辛かったかな。
カタログは写真資料が非常に豊富で、価格以上の価値があったのは確かだが・・・
これについては、完全に偏った感想だが

総評としては、
 ・「赤壁の戦い」を扱った創作作品の考察としては秀逸
 ・『三国志 正史と小説の狭間』なみのパフォーマンスには期待しない方がよい
といったところか。
映画「レッドクリフ」に合わせたという意味で、「時機を得た」書籍だが「正史と小説の狭間」や「カタログ」をお持ちの諸兄は、第一章第一節がお気に召すか次第だと思う。
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この記事のコメント
>創作物を見下す様なスタンスの発言
・・・耳が痛い。
別に研究者でもなんでもないですけど、こういったスタンスに近いですね。私。
三国志演義の娯楽性については私も大いに認めるものですけど、事実性については完全否定してますね。
改めねばならないと感じました。

>『三国志 正史と小説の狭間』
そこまでオススメなら私も探してみようかな。
最近は三国志から離れに離れてますからねー。
太閤Ⅴとか革新のおかげで専ら戦国時代中心になってますし。
・・・それもコーエーの三国志シリーズが(以下自粛
2009-05-25 Mon 18:49 | URL | 国士無双 #RFphBmaY[ 内容変更]
>創作物を見下す様なスタンスの発言
うん、私も気をつけなくてはならないですね。
大切なのは、
 史実は史実として捉えること
 創作物は創作物として楽しむこと
だと思います。

>『三国志 正史と小説の狭間』
文句なしにオススメです。
詳細はリンク先をご参照頂くとして、色々と示唆に富んだ内容です。「赤壁の戦い」や三國志系の創作物に関する情報をお望みなら『三国志 赤壁伝説』でも良いですが、そうでないなら圧倒的に、「正史と小説の狭間」が宜しいかと。
2009-05-26 Tue 03:22 | URL | オジオン #-[ 内容変更]
>『三国志 正史と小説の狭間』
私も確か幻想工房のレビューで見て買いましたが、お勧めです。
あんまり難しいことを考えるのが苦手な私でも非常に読みやすく、理解しやすい内容でした。

>コーエー三国志シリーズ
・・・いろいろありましたけど、もう出ないのですかね(-_-;)
まあ、商業的には無双とかオンラインの方が儲かるのでしょうか。
桁が違いますし。
2009-05-26 Tue 15:55 | URL | 南斗 #leF2ecbc[ 内容変更]
>『三國志 正史と小説の狭間』
しっかり正誤表が公開されているのも評価ポイントです。
http://mitsuda.blogtribe.org/entry-507832253e520a8a1d9b3eb900070da8.html

>コーエー「三國志」
まぁ、武将単位なら「三國志VIII」、勢力単位なら「三國志IX」があるからいいじゃないですか。
・・・Windowsのヴァージョンが進むうちに、起動しなくなってくるでしょうけど。koeiのレトロゲームの宿命ですかね~
2009-05-27 Wed 02:10 | URL | オジオン #-[ 内容変更]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009-06-19 Fri 20:32 | | #[ 内容変更]
Re: ありがとうございます
ご丁寧にコメントを頂きまして、恐縮する次第です

>BB戦士三国伝
プラモは劉備・関羽・張飛のみ、コミックス購入無し
という状態ですが、今後は応援していきたいと思います(^^;

>図解 三国志 群雄勢力マップ
カラー図版が多いというのは、三國志関連では貴重ですね。
学研のムックとかも地図はモノトーンしかなかったですから
今度、書店で探してみたいと思います。

ブログを拝見すると、非常にお疲れのご様子ですが、
ご自愛ご活躍くださるようにお祈り申しております。今後とも宜しくお願い致します
2009-06-21 Sun 01:14 | URL | オジオン #-[ 内容変更]
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