「幻想工房」の雑記帳。 管理人の頽廃的でデカダンな日々を赤裸々全裸に記録
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『血涙  -新 楊家将-』(上)(下) 読了
2009-04-21 Tue 03:19
『血涙  -新 楊家将-(上)(下) (北方謙三・PHP文庫)読了
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『楊家将』の続編
 上巻のアオリは「水滸伝に繋がる魂、ここにあり!」
初見では違和感を覚えたが、読了後は大いに頷けた
僚将の裏切りにあい、楊家軍の総帥・「無敵」楊業の死から二年後・・・
破滅的な陳家谷の戦いを生き延びた六郎延昭七郎延嗣らが再び楊家軍を結成、宿敵である遼の耶律休哥の精鋭騎馬隊と繰り広げる激闘が物語のメインになる。鍛え抜かれた騎馬隊同士の戦い、戦争の前にしっかりと兵站を整えている点など、なかなか読み応えがある。
登場人物の多彩さ・キャラ立ちも相変わらずで、
 「燕雲十六州」の回復に燃える、宋太宗
 中原制覇に燃える国家指導者、一人の母親あるいは女性としての顔を持つ、遼の蕭太后
 遼のために、それぞれのわだかまりを捨てて団結する、遼の将星
 それぞれの野心のために楊家軍を支援する、柴礼寇準
など、いずれも陰影があり、精彩を放っているのは見事の一言。
ただ、この『血涙』はタイトルの暗示するとおり、悲劇的な終末を迎えることになる。
遼の捕虜となった四郎延朗は記憶を失い、遼将・石幻果として新生楊家軍の前に立ちはだかり、血みどろの骨肉の争いを繰り広げることになる。興味深いのは、「戦う姿勢」における、六郎延昭・七郎延嗣と四郎延朗対比だろうか。
前作「楊家将」では皮肉屋でやや斜に構えたキャラクターだった四郎延朗は、石幻果として妻・瓊峨姫と愛息・英材のため、父母と慕う耶律休哥・蕭太后に報いるため、悩みつつもあくまで遼将として戦い続ける。一方、前作では父・楊業に従ってあくまで宋のため戦っていた六郎延昭・七郎延嗣は、形の上でこそ宋将であるが宋に対する警戒心を隠そうとしない
そこには、当然父・楊業を見殺しにされた「前科」があるのだろうが、それ以上に国家を守る武官として戦う者にあまりに冷淡な「文治国家」宋への強烈な不信感が見て取れる。この点に関しては、解説で森福都が的確に指摘している。
クライマックスとなる開封決戦。
楊業の血を受け継ぐ者同士が相打ち、澶淵の盟の締結をもって物語は結ばれる。
民族主義的な「中華思想」(本来の中華思想・華夷思想はこのように偏狭なものではない)によると、これは「金銭によって平和を購った」ことになっている。が、実際は遼に贈られた歳幣は宋からの奢侈品の購入にあてがわれており、結果として宋は一層の経済的繁栄を享受することになった、と解釈した方が現実に即していたと言える。
この盟約締結のため、楊家軍は不要となって使い潰された
そう考えると、「血涙」というタイトルはただ運命の悪戯を嘆くにとどまらない、含蓄のあるネーミングに感じられるが・・・ いかがだろうか?

基本的には原点である「楊家将演義」とは別物。
ハードボイルドな北方調にやや飽きが感じられる部分もあるが、『楊家将』の続編としては及第点以上の出来だと言える。前作をお楽しみの諸兄にはオススメできる作品である。
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