「幻想工房」の雑記帳。 管理人の頽廃的でデカダンな日々を赤裸々全裸に記録
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『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』 読了
2008-02-08 Fri 04:15
『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』(田岡俊次・朝日新書) 読了
prc-dprk
専門的な軍事知識に裏打ちされた情勢分析は見事。
だが、導き出された結論は・・・
最近話題の北朝鮮・中共の核武装や軍拡について扱った新書。
長年、軍事分野について記事を執筆してきた筆者による情勢分析はなかなか見事である。
構成としては、
第一部 「北朝鮮の核」 と 第二部 「中国の軍事力」の二部構成になっている。
北朝鮮の核開発技術を軽視する様な専門家も多いが、筆者は北朝鮮の核開発技術を侮るべきではないと主張する。これは「最悪に備える」危機管理の観点からも至極妥当な見解であり、日本が北朝鮮の核ミサイルの射程圏内に入ったという現状認識については同意できる。一方、北朝鮮のGDPが島根県と同クラスである点も付記し、地力が違いすぎるために日本に敵し得ない国家であることも示唆している。
そういう意味で、やはり日本にとって注目すべきは北朝鮮よりも中共である。
中共の「軍拡」については、そのペースに目を瞠るものがある。
が、統計上からは窺えない「盲点」を指摘してある。例えば、
 ・軍事費の増大分はインフレと人件費(将兵の給与)の高騰による
 ・多くの国々から新型兵器を購入しており、統一性に欠ける
  (日中戦争時も同じ状況で軍備は近代的であったが、消耗戦に耐えられなかった)
 ・ジャッジシステム(自動警戒管制システム)の様な防空システムを持たない
 ・訓練に必要な消耗品が不十分で、練度が低い
 ・たとえ近代化しても、最新鋭機を極東方面のみに集中配備できない
などを挙げ、短期的には中共が台湾を武力制圧することは困難であるとの見解を示している。
こういった現状認識については大いに同意できたのだが、そこかれ導き出される「結論」の部分には、同意できかねる部分が非常に多かった点も指摘しておかなかればならない。特に異論を唱えたい三点を取り上げて列挙してみる。これから本書を読まれる方が参考にして頂けると幸いである。

先制攻撃論=バカ派なのか?
書評ブログなどで、「バカ派」が大変受けがよいらしい。
・・・が、果たしてこれを笑い話にしてしまって良いのか、引っかかりを覚えた。
まずもって、実際に先制攻撃を行うのが愚の骨頂であるのは間違いない。これを行った時点で、攻撃を受けた国はあらゆる報復行動を正当化できるようになるし、日本にそれを防ぐ手だてがあるとは思えない。そもそも、「戦争の終わり方」を考えずに先制攻撃を行うのは日中戦争の戦訓を思い起こせばとり得ない選択肢である。従って直面する脅威を外交努力によって取り除くのが最良であるのは言うまでもないのだが、外交交渉には軍事力による裏付けが必要である。日本が「先制攻撃」というカードを持っていることで、交渉国に対して交渉を有利に進められる局面が絶対にあるはずである。そういった外交カードとして先制攻撃を行いうる対地攻撃能力を整備することは非常に有意義であるはずなのだが・・・ そういった意見までも「バカ派」扱いするのはいかがなものか。

日本の核武装は対米開戦を招くなのか?
最も違和感を感じたのはこの部分。はっきり言って論理性が皆無である
まず、米軍が日本を潜在的な仮想敵国として捉えていたのは間違いない事実である。
 (cap in the bottle=ビンのフタ)
ただ、これは1980年代の話であり、情勢はかなり変化している。
米国は核の不拡散に対して絶対反対の姿勢をとると断言できるのだろうか。奇しくも筆者が本書の中でも述べているように、国は利害で動くものだ。米国にとって日本の核武装が利益となるなら米国はイスラエルのように黙認するか、インドのように積極的に協力するだろう。そもそも日本は食糧自給率が異常に低く、穀類のほとんどを米国からの輸入に依存しているし、外貨獲得も対米輸出に依存しきっている。首根っこを押さえられているに等しく、核ミサイルを配備しても米国とは絶対に戦争できない国なのだ。
この日本の立場を米国が正確に理解すれば、米国の同盟国として英・仏などと同様に日本が核武装できても何の不思議もない。筆者は「米国が他国と共同して日本の在外資産の凍結や貿易停止に走る」と指摘し、「核関連施設に対する『外科手術的攻撃』をちらつかせ」て日本を恫喝してくると警告するが、これは荒唐無稽であろう。そのような暴挙に打って出れば、米国の経済停滞は言うに及ばず影響は全世界に広がる。また、日本政府が巨額の米国財務省証券の買い取り手であることも忘れてはならない。追いつめられた日本がこの巨額の債権を一気に手放せば混乱に拍車がかかるだろう。
そもそも米国政府が、政治的に対立したという理由だけで日本にそこまでの強硬姿勢で臨んでくるとは思えない。政治的に対立していても経済的には相互依存状態になりうることは、これまた本書で筆者が中共と台湾を例に証明していることである。

中国を敵に仕立て上げるな?
この点も、大いに同意致しかねる。
そもそも、日本を敵視するのは中共政府の国策、より正確に言うなら「反日」は中国共産党の存在理由なのだ。確かに本書が指摘するように現在の中国共産党は共産主義政党ではないし、中共も社会主義経済国ではない。ただ、言論の自由が制限され、まともに参政権が認められていない国であることは間違いない。要するに、共産党のお家芸である民主集中制を捨てていない点を指摘しないのはどういうことだろうか。こうして政治参加の機会を奪われている中国市民の不満の捌け口として、「かつての侵略者・日本」は恰好の存在だと言える。
これは、江沢民の発言からも明らかで、日本を敵視する中共を、日本が敵視しないでおこうというのはかなり無理がある。隣国が対外強行策をとる場合、宥和的な外交政策はえてして破局を招きやすい。強行策をとる国は宥和的な国を見下すだろうし、見下された方の国民感情も悪化せざるを得ない。このへんについての筆者の見解を窺ってみたいものである。
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この記事のコメント
オジオンさん、こんばんは。
オジオンさんも読まれたのですね。


>「先制攻撃を行いうる対地攻撃能力を整備することは非常に有意義」

これは同意です。
ただ、先制攻撃が可能であったとしても、終わり方を考えたところまで軍備を拡張しないといけない論理のような気もします。
盧溝橋、最初の一発をどちらが撃ったかは今も論争のネタのようですが、中共が謀略として撃ったというなら、ぞっとするほど効果を上げたと言って良いでしょう。

日本側は先制攻撃をできるだけの軍備があったので戦線拡大をして、ふと気が付けば負けていたのを思い返せば、相手が泥沼の消耗戦に持ち込む気で先制攻撃をさせたら、というところを考えれば、先制攻撃を行いうる対地攻撃能力を整備することは極めて困難かな、と。


>「日本の核武装」

この辺り、判断は分かれると思いますが、IAEAが大量の査察官を日本に常駐させていることは米国を中心とした国々の強い懸念を感じさせるに十分です。
実際、経済では相互依存だとしても、経済交渉でアメリカは日本を潰そうとしている、という局面が何度もあったそうです。

ある意味、余りにも多くのものを依存しているため、中共や北よりアメリカが怖い(笑)


>「中共」

おっしゃるとおりかと。
ただ、貧困国において経済力が上昇している場合、ナショナリズムが高揚するのはよくある話ではあるので、こちらが冷静である必要はあると思います。
中共指導者は、冷静に反日政策を取っているわけですから、こちらが熱く反中国になるわけには行かないかと。

と、反共の私が言っても説得力が・・・(笑)


長々と失礼致しました。
2008-02-09 Sat 00:57 | URL | すかいらいたあ #-[ 内容変更]
どうも、こちらではお久しぶりです(^^;

>>先制攻撃
やらない方が良いでしょうね。
あくまで外交カードとしてですし、平和は軍事力の均衡によってのみもたらされます。
廬溝橋に関しては、当時中国が事実上の内戦状態であったことを考えると単純に現在にはあてはめられませんけど、確かにあれが謀略だとすれば日本はもちろん国民党も見事に乗せられたことになります

>>核武装
もはや日本はかつてのように世界市場を席巻する存在ではないですし、平和憲法を改憲できない日本を脅威だと認識する国はもはやほとんどないと思います(一部、恣意的に日本の脅威を吹聴する勢力があるのは事実ですが)。
また、IAEAの査察官が大量に日本にいるとはいっても全査察官の10%程度で、かつこれは日本がUNの旧敵国(必要以上に警戒されている)だったことと無関係ではないでしょう。その上、IAEA自身も日本に査察官を置くことに疑問を呈しています
http://www.ask.ne.jp/~hankaku/html/iaea-japan.html
いずれにしろ、核武装にはアメリカの同意が大前提ですけどね。日本以上に脅威と見なす様な強力な覇権国家が登場してくれば、アメリカが認める可能性もあると睨んでいます。なにより、核武装後の印パによる武力衝突事例が激減していることからも核兵器の抑止効果は明白です。
個人的には「無いよりもまし」で「幾ら金があっても足りない」MDに心血を注ぐより、核武装した方がずっと経済的だと思いますが・・・ 失うものも当然ある訳でそのへんの得失を充分に議論する必要があると思います。その上で、「核を持たない」という選択もアリだと思っていますし

>>極端なアメリカ依存
考えてみれば、こっちの方が恐いですよね確かに(^^;
そもそも、アメリカ無しで日本の国防を考えられない状況になっていますし、この点については石破防衛相も認めています。だからこそ、アメリカは首根っこを押さえた日本を同盟国として信頼して欲しいんですけどね(^^;

>>中共
う~ん、私には彼らが冷静だとは思えません。
正直言って、短期的な利益(ガス田など対日交渉で譲歩を引き出す、国内の不満を解消するなど)のためにせっせと反日教育を繰り返してきたけど、それを制御しきれず持て余している様な印象です。
逆に、中国が反日政策を推し進めることでもっとも利益を得る国がどこなのか? を考えると、中国がアメリカに踊らされている様にも思えるんですよね。日中を適度な緊張状態において、アメリカがその時々の利害によって日中両国に肩入れする、そういうシナリオを描いている様な気がします。アメリカにとって日中が共同してアメリカの覇権に挑んでくるのが最悪のケースだと思うので、現状にほくそ笑んでいる気もします。

・・・そう考えれば、やっぱり私の理想・核武装中立が望ましいのでしょうけど、日本にはそれを行うだけの覚悟も気概も資源ないですし、そもそも国民が今より幸せになるとは思えないです。そう考えると、いろいろ難しいですよね~
2008-02-09 Sat 04:18 | URL | オジオン #-[ 内容変更]
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