「幻想工房」の雑記帳。 管理人の頽廃的でデカダンな日々を赤裸々全裸に記録
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『桶狭間の真実』 読了
2007-12-15 Sat 02:23
『桶狭間の真実』(太田満明・ベスト新書) 読了
truth of okehazama
「信長は小心者だった!」のアオリが目を引く歴史新書
決してつまらない内容ではないが・・・
いきなり結論から述べよう。
もう330円払って『信長の戦争』(藤本正行・講談社学術文庫)を購入した方が経済的だろう。
『信長の戦争』と比べるとまとまりが悪く、細かな検証も桶狭間合戦に限定されているため間違いなくボリューム・満足度に劣る。精緻な史料研究でこの当時の今川・織田両家の国力差を検証しているのが目を引く程度、と言って良いかもしれない。また、
 ・今川義元が上洛を企図していた訳ではない
 ・両家の国力差は接近していた
 ・信長の尾張統一政策が今川義元による軍事介入を惹起した
という説は、既に他の研究者が遙か以前から主張していた内容で、新鮮味に欠ける。
それなりの労作だというのは伝わってくるが、これが精一杯の好意的評価である。
また、上述したような説を以前から提唱している藤本正行先生らの著書が参考文献欄に見当たらないのは如何なものか、とも思った。もちろん、太田先生が藤本説に全く影響されていない可能性もありうる。だが、「歴史書を濫読」した太田先生にかぎって、私のようなずぶの素人でさえも目を通したことがある藤本先生の著書を全く読んでいない、というのは少し考えがたいのだが・・・

また、全体的に信長を
 戦術家・謀略家としては過大評価、政略家としては過小評価している
確かに信長は戦術家・謀略家としても水準以上の能力を持っていたと思うが、同時代人では彼以上にこの方面の能力に恵まれた者は何人もいる。本書に挙げられたほど、信長が戦術・謀略の鬼才であったとは考えがたい。
逆に、政略家としての信長は卓抜した存在だったのではないか。これは図らずも著者が信長の「媚態外交」の例として挙げた武田信玄との同盟関係についてとりあげよう。一般に、これは「信長が戦上手の信玄との直接対決を敬遠した」と評価されている。しかし、こういった通説が文献史学の裏付けに欠けることは既に証明されつつある。信長と信玄の同盟は共生関係の延長線上にあり、むしろ上杉・今川・北条による包囲状態におかれていた武田家にとってより重要な同盟であった。優位にあってなお相手の顔を立てるのが信長流の政略の特徴ではなかろうか。信長は一般的なイメージに反して意外と伝統的権威に対して慎重な姿勢で臨み(『だれが信長を殺したのか』に詳しい)、かつ敵対者に対してメンツを立てることも忘れなかった(本願寺降伏時など)。そういう意味で、信長の真骨頂は「戦闘」「謀略」ではなく、よりマクロな「戦争」・「政略」にあったと思うのだが・・・

散々腐したが、安易に「今信長」を求める社会に対する危機感には同意している。
また、信長が非常に欠点が多く、リーダーとして瑕瑾の多い存在であったことも間違いない。著者に同意するところは少なくはなかったが、よりコストパフォーマンスとクオリティに優れた先行する書籍が存在している点については強調しておきたい
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