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2007-07-04 Wed 05:21
まず、タイトルのあまりの香ばしさに購入を躊躇った諸兄が相当数いらっしゃるだろう。 正直に言うと、自分もそうだった。 ばろんさんの紹介がなかったなら、恐らくこうやって読むことはなかったろう。 だが、歴史ファンタジー好き、if好きという方は騙されたと思って是非手にとって頂きたい ちなみに、原題は『L'ULTIMA LEGIONE』。英題は『THE LAST LEGION』 邦題『カエサルの魔剣』というのも、読み終えてみれば悪くはないタイトルであるとは思うのだが、読者のファーストインプレッションは芳しくなさそうだ。映画化が決定しているらしいが、邦題が気になるところ。多分、観に行くことはないだろうけど。 舞台は西暦476年の西方ローマ帝国。 主人公は最後の西ローマ皇帝であるロムルス=アクグストゥス。 史実では判っていることの方が少なく、年少であることを憐れんだオドアケルによって助命されたことが知られているくらいであろうか。史実でも穏和な人物であったのだろうが、作中でも優しく穏やかな少年である。ただ、冒険を通じてともすればひ弱であったロムルス少年が、苦難を乗り越えるたびに人間的に成長していく様子が描かれているのが嬉しい。このロムルス少年が史実通りに幽閉された南伊カプア島から逃れ、仲間たちとともに新天地を目指して、オドアケル配下の追撃を逃れる、典型的な貴種流離譚。 そのロムルス一行に従うのは、家庭教師のアンブロシヌス翁(本名はマーディン=エムリース)。ブリタニア出身のドルイド僧で、ロムルスの育ての親でありかつ一行の知恵袋。そして、ローマ「新無敵軍団」の生き残りのアウレリウス(本名はアウレリアヌス=アンブロシウス=モンテディウス)。一行の中核を為すこの二名の本名と、アンブロシヌスが魔術師めいたドルイド僧であることから、鋭い人はこの時点で筋書きが読めることかと思う。また、紅一点の弓使いリウィアがアクウィレイア市出身で、黎明期のヴェネツィアの戦士、という設定が興味深い。『海の都の物語』(塩野七生)の読者なら、ヴェネツィアの建国伝説を思い出したはずである(ちなみに、伝説ではヴェネツィア建国は西暦452年 その時点でリウィアは7歳だったらしいので舞台となる西暦476年では31歳ということになる・・・ 訴求力弱いな、唯一の女性メインキャラ(^^;)。他は、アウレリウスの同僚であるローマ軍団の生き残りたち。怪力無双なエチオピア人のバティアトゥス、ちょっと皮肉屋だが決める時は決めてくれるウァトレヌスと、まさに冒険娯楽小説のお定まりの面子だが、いずれもキャラクターが立っている。 その一行の敵役の方もなかなか個性的で、冒険娯楽小説のツボを見事に押さえている。知謀に長けたダブルスパイや、黄金の仮面で老醜を覆い隠す蛮族の王なども印象的だったが、やはり一番は隻眼の蛮将ウルフィラだろう。とにかくこいつが執念深い。あっさり系の敵役が多い日本のライトノベルや娯楽小説には少ないタイプで、ある意味では最もパンチ力のあるキャラクターだったりする。 物語の展開としては、実にスリルの連続。 読んでいるとつい熱中してしまい、娯楽小説としては読み手を選ばない無難な展開で、映画化されようというのも頷ける話である。描写も安定しており非常に読みやすいのだが、逆に考えると560ページのボリュームを考えると、やや冗長とも評することが出来るかも知れない。 上で何度も指摘したように筋書きは途中で読めてしまうのだが、それでも読ませるものがあるのは確か。西暦476年の歴史的事件が、ifをへて伝承へと繋がっていく様は読んでいて小気味よい。実に娯楽小説の優等生的作品である。 |
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今思ったんですが、映画化されればちょうどいい尺になるかもしれませんね。どの場面が切られるからによりますけど・・・・・・
個人的にはウルフィラ役を一番熟慮して決めて欲しいところです。何しろ彼が敵役を1人で担っている作品なので、そこで作品の良し悪しが大きく左右されると思うのです
2007-07-05 Thu 10:41 | URL | ばろん #2cav.0bA[ 内容変更]
>>映画化
個人的にはヒットするのかどうかが気がかりです。 最終地点にまで到達すれば、日本人にもなじみ深い「あの伝説」へと繋がります。が、「西ローマ帝国滅亡」ってのは、西洋史に疎い人が多い日本ではあまり訴求力を発揮しないと思うんですよね〜 ただ、話の展開とかは映画向きですよね。 アクションとスリルの連続なので、「指輪物語」のような名作になる可能性を秘めていると思います。 >>ウルフィラ もう、存在感で言えばこいつが一番ですからね〜(^^;) 熟練俳優による「怪演」に期待したいのですが・・・ 実は洋画はほとんど観ないので、俳優さんはほとんど知りませんけどね |
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