「幻想工房」の雑記帳。 管理人の頽廃的でデカダンな日々を赤裸々全裸に記録
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『メシアの処方箋』 読了
2007-06-28 Thu 03:35
『メシアの処方箋』(機本伸司・ハルキ文庫) 読了
messiah
『神様のパズル』で宇宙開闢に挑んだ機本伸司が、「救世主創造」に挑戦する
面白いことは面白いのだが・・・ 前作同様、不満点もちらほらと
宇宙開闢」の次は、「救世主」かぁ~
エンターテインメント作家には、おのおの得意とする領分がある。それがアイディアであったり、ストーリー展開だったり、キャラクター同士の掛けあいだったり、表現力だったりするのだが、ことアイディアに関してはこの機本伸司に及ぶ作家は少ないと思う。「宇宙開闢をシミュレートしてみよう」というのもかなり度肝を抜かれたが、「救世主を誕生させよう」というのは正直言って思いつきもしなかった
『神様のパズル』が物理学や量子力学メインだったの対して、この『メシアの処方箋』は分子生物学生命工学をメインに扱っている。温暖化によって決壊したヒマラヤ山脈の氷河湖。その下流の砂防ダムに突如出土した「方舟」の第一発見者となった主人公。盗掘防止のために報道管制が敷かれる中、その内部から発見された蓮華模様の木簡に頭を悩ませる調査チームと主人公に接触を試みてくるのが、考古学者のロータス。主人公はその顔つきを「テロリストのようだ」と評していたが、ハッキリ言ってテロリストが可愛く見えるくらい煮ても焼いても食えない男だったりする。そして、ストーリーを動かすのは終始、このロータスであり、主人公はあくまで語り手でしかない。つまりロータスは『神様の~』にあてはめると穂水に相当するキャラクターなのだが、穂水の様なかわいらしさ(勿論、容姿のことを言っているのではない)はなく、ハッキリ言って、発想も行動力も怪人じみている。一方、主人公はそれなりに考え、思い悩むのだがいかんせん状況に対してあまりに受動的である。『神様の~』の綿さんも状況に対して受動的であったが、それ以上に主体性に欠けていた。これが一つ目の問題点と言って良いだろう。
二つ目の問題点として指摘できるのは、物語としては落ち着くべきところに落ち着いているとは思ったが、進行していくプロセスに、キャラクターたちの感情(あるいはキャラクターに対する読者の感情移入)が追いついていないと感じることがしばしばあった。ラストのクライマックスはなかなかの盛り上がりだったと思うが、彼らがとった行動に共感しにくいし、それまでの経緯からもロータス以外の人間はあそこまで志操堅固だとは思えないのだが・・
救世主については、大方予想通りだった。私の推理、というより残りページから逆算すれば、「この展開しかないだろう」という。本当に「救世主」らしい行動だったので、納得は出来る。ただ、『神様の~』に続いて、ちょっと肩すかし気味なラストなのは否定できない。なかなか味はあるのだが。
ちなみに、主人公以外はなかなか濃いキャラクターたちが揃っている。製薬会社技術者の北川(二次元オタク)、コンピュータ技師の上杉(リストラ経験者)、闇医者の真田(堕胎手術失敗で指名手配)、AV女優のカビリア、ヤクザの元締めの尾上、機動隊指揮官の河嶋美芳などいずれも一癖も二癖もあるキャラクターたちだったが、語り手が主人公に限定されていたため、彼らの心情描写が弱かったのが痛恨。特に美芳は華もあり、ある意味美味しい役回りだったので惜しかったのだが・・・
しかし、読んでいる途中の謎解きや、救世主誕生を望まない勢力との暗闘などは、読んでいてハラハラさせてくれたし、退屈に感じることはなかった。エンターテインメント小説としては充分な出来であるし、SF小説としても楽しめる内容だと思う。
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