「幻想工房」の雑記帳。 管理人の頽廃的でデカダンな日々を赤裸々全裸に記録
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『二四○九階の彼女』 読了
2007-06-08 Fri 02:15
『二四○九階の彼女』(西村悠・電撃文庫) 読了
f2409-01
共感できない訳じゃない
・・・が、いろいろと気になる部分が多すぎるのが残念

レビュー的には、同レーベルの人気シリーズとの比較論になってしまったか
破滅した地上世界から隔絶された、無数の【塔】からなる階層世界。各階層は人工の神・アントロポシュカによって、【幸せ】に管理された世界。だが、永い時間を経て、その【幸せ】は狂いを見せはじめ、緩やかに破滅へと向かう世界。主人公・サドリと相棒のカエルが、各階層で【鍵】となる人物たちと出会いを繰り返しながら、【塔】の外にあるという海を目指す。
簡単に書くと、そういう設定。
主人公二人組が、どこか狂いの生じた世界を旅する、というロードムービー的なノリは「キノの旅」シリーズに近い。まぁ、『ガリバー旅行記』『鏡花縁』に代表される様に、古今東西あらゆる種類の娯楽作品は似た様な設定であるからして、「キノの旅」シリーズに似ていることを以て、この作品を否定するのはやや乱暴だろう。そもそも「キノ」シリーズからして、文章に関しては褒められた出来ではないので、文体の拙さついてはどっこい、という見解も成立しうる。ただ、かなり文章が拙い「キノ」シリーズだが、効果的に叙述のオーダーを組み替えたり、トリックを仕掛けたり読む者を退屈させない様にいろいろと工夫がなされている。そして何より、先達となる作品同様に強烈な社会風刺のメッセージが込められている。それが、キノという少年でも少女でもない大人でもなく子どもでもない境界線上に位置する何ともアンバランスなキャラクターから発せられるメッセージだからこそ、ティーンエイジャーの支持を勝ち得ているのだろう、というのが個人的な見解だったりする。
(キノは生物学的には、歴とした女性です。念のため(^^;
翻って、我らがサドリくんはどうか。
というと、実はキノとは全く性向が違うキャラクターだったりする。
これは両者の生い立ちの違いに起因するのかも知れないが、最大の要因は両者にとっての「旅」の位置づけだろう。「旅」することが目的化しているキノに対し、サドリは目的地がハッキリとしている。この違いは大きい。キノがどこか超然と構えている様に見えるのに対して、サドリがやや余裕を感じさせない様に感じるのも、実はここに起因している様に思う。
で、個人的にはキノよりもサドリの方に感情移入できたのは確か。達観した凄腕のガナーで、ある意味「擦れきった」キノに比べ、サドリはまことに平凡で華のないキャラクターだが、それだけに感性は現代日本人的であり、感傷的であるとも言える。これは、田園広がる牧歌的な彼の故郷(アサ四棟 一三○二階)が、私自身の故郷に似ている所為かもしれないが。いずれにしろ、「一○五六階の幻想」「二四○九階の彼女」などは、決して悪い出来ではなかったと思う。・・・が、それを帳消しにしかねないのが文章の拙さ。とにかく、叙述に穴が多すぎる。一例を挙げてみよう。
無限の広がりを持つ空間の七割が暗闇。三割がランプの弱々しい光に薄く照らされていた。(「九一四階の積層図書館」p14より)
・・・もの凄い違和感を覚えたのは私だけだろうか?
「無限の広さ」を持つのであれば、「七割」「三割」と明言するのは明らかに不自然である。「見える範囲で~」や「~ほど」などの表現であれば、まだ納得できるのだが。しかもこの直後に、
『小僧、先ほどの娘の話、何かおかしなところがなかったか?』(「同」p42 原文ママ)
とあったりするので、「おかしなところ」は挙げていけばキリがないですよ、とか電車内でツッコミを入れたくなってしまった。
では「とるに足らない作品」かというとそうは思わないし、なかなか面白い部分もあったと思う。西村先生にとって、このシリーズがデビュー作らしい。また、ここまでレビューをした以上は、次で完結するらしいので、二巻も読むつもりでいる。なかなか衝撃的なラストの様で、不安も感じるが、実はちょっぴり期待も抱いていたりする。
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この記事のコメント
>もの凄い違和感
普段ぼけぼけっとしながら読んでいる私はそこには気がつきませんでしたね^^;
しかし、、
>「おかしなところ」は挙げていけばキリがないですよ
には激しく同意です^^;
個人的には、トップに持ってきた話が一番読みづらくて、とっかかりで躓いてしまいました。
しかし、一○五六階の幻想等はなかなか読めましたし、王道的な展開ながらも、なんとか読ませるものはあったと思います。

2巻も読まれるとか。
期待しています。
2007-06-08 Fri 19:00 | URL | 南斗 #I4t1ZHtI[ 内容変更]
>>「一○五六階の幻想」
良いと思いますよ。
ぶっちゃけ、「~の積層図書館」と「~の戦争」以外は、短編ラノベとしては充分な出来だったと思います。個人的には表題作の「二四○九階の彼女」が最高評価ですが。
二巻は、やはり不評なのか、出版数が少なかったの所為か、近所の書店では入手できませんでした。来週、あるブツの回収を試みるので、その時に捕獲できれば同時に捕獲したいと思います。
2007-06-09 Sat 01:00 | URL | オジオン #-[ 内容変更]
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